先物取引~「両建て」による被害

先物取引被害で、いちばん多いのが「両建て」による被害。

「両建て」と言われても、わかりにくいですよね。簡単に説明してみましょう。

 

例えば、あなたが1枚5000円の金を10枚買ったとします。

金は単位が1000グラム。

5000×1000×10で、5000円の価値になります。

ところが、だんだんと価値が下がってきて「1枚5000円→4900円」になってしまいました。

たかが100円、されど100円なのが投資の世界。

4900×1000×10の計算だと、4900万です。つまり、5000万だった時に比べて100万の損をすることになります。これは大きな損ですよね。

 

そこで「売り」が出てくるわけです。

「売り」というのは、「買い」とは逆に価値が下がることを予想して売ること。

先物取引では、買った時よりも価値が上がることを見込んで利益を狙いますが、その逆が「売り」にあたります。

つまり、「価格が下がれば下がるほどもうかる」という仕組みになります。

 

上の例でいうと、今4900円の価値がついているプラチナ10枚を別に用意し、誰かにその価格で半年後に売る約束をしたとします。

でも、半年の間にますます価値が下がり続け、価値は4800円に下がってしまいました。

それでも、相手は「4900円で買う」と契約したわけですから、4900円で買う義務があります。

本来であれば4800万で売れるものを、4900万で売れば100万の利益がでます。

これなら、買いで100万の損がでたとしても、売りの100万でカバーすることが可能ですよね。

 

一見すると損を防げるようないい方法なのですが、「売り」「買い」の両建てをすることで手数料が倍かかるようになります。そもそも、「これから必ず利益が出ますよ」と言っているのに、保険として「売り」を勧めること自体おかしいと思いませんか?本当に利益がとれるとわかっているなら、売りという保険をかける必要はありません。

売りと買いを繰り返しているうちに、どんどん高額な手数料を吸い取られていくという仕組みです。

また、両建てを解消したとしても、新しく両建てをすればまた高い手数料を取られていくので、最終的には損しかしません。

 

このような、同じ商品の「売り」「買い」を同じ数だけ顧客に勧めるような行為は、先物取引では禁止行為に指定されています。注意してください。